■ インテリア計画
□ 計画のすすめ方
建物が完成するまでの課程を、大きく分けると、「企画」、「設計」、「施工」となります。
企画とは、どこに、何の目的で、どういう建物を、いつ、どの程度の予算で建てるかということをはっきりさせる段階で、主に施主の間で行われます。この段階で与件が明確なものとなります。
設計の段階では、設計者が中心となって、条件をさらに整えながら、基本的な形を決め、次第に細部の設計へと進んでいきます。
この段階は基本設計と実施設計の2つにわけられます。
基本設計によって、どのような空間になるのかということが、図面などによって表されます。
通常この段階までが、狭義の計画段階とみなせれます。
次ぎに基本計画で確認された内容を受けて、実施計画が行われるわけですが、この段階で細部が決められ、設計図書を完成します。
インテリアの場合も、ほぼこの課程に準じますが、その作業の段階を、一般的な形でとらえてみると次ぎのようになります。
(1) 条件の整理
計画の要素全般にわたる諸条件の中には、お互いに矛盾するものもあって、またどうしても守らなくてはならないものと、それほど限定されない内容のものとがあります。
したがって、これらを総合的な見方でよく整理する必要があります。
具体的な条件を、前節に述べた各要素ごとに検討を進めればいいのです。
住宅の場合には、特に生活像の把握を確実に行い、将来のあり方まで十分な考察がなされなければなりません。
また、条件の整理の段階では、しっかりとしたコンセプトを持って、判断の基準を明確なものにしておくことが大切です。
コンセプトという言葉は、概念を意味していますが、計画、設計の分野では、設計の元になる考え方、あるいは思想のことと考えて構いません。
(2) 空間の配分と配置
与えられた建築の内部空間において、その空間の使用者(居住者)の基本的な生活要求を満たすように、まずおおよその空間配分を試みます。
その空間で行われるであろう生活行為を設定したり、推測したりして、また目的にそってそれらをまとめるなどして整理して、それに対応する単位空間を設定します。
さらに、その空間の使用人数、使用頻度、必要な装置、設備などを検討して、動作空間の寸法を参考に空間の広さを決めます。
その際、使用者の特性、ライフスタイル、空間の特徴づけや重点の置き所なども、広さのバランスを決める上の大切な要素となってきます。
次ぎに単位空間の相互の関連の度合いから、位置関係や区画の程度を決めます。
動線の計画や空間相互の位置関係を決めるには、行為の流れ、重要度などの検討がポイントとなります。
それは空間の中に機能を配置することで、間取りを決めることでもあります。
その際、出入り口や通路、開口部(窓)、設備などとの関係も検討し、ゆとりの空間なども考慮して、全体がバランスよくまとまるようにします。
(3) 空間のイメージ
内部空間は生活に密着していますので、適切な機能が整えられていることが絶対条件ですが、生活者にとっては、その空間が心地よく楽しいものであるかが大切になります。
それは、空間のもつ雰囲気によって左右されますが、計画を進める上で、インテリアの雰囲気をどうイメージし、具体化していくかが重要な作業となります。
空間全体のイメージに強い影響を与える要素としては、まず空間の形があります。
直線的で方形の硬い形か、曲線的な柔らかい形かといったことです。
次には床、壁、天井を構成する材質感がもたらすイメージがあります。
石や金属といった硬い光沢をもつ材料、木や布、織物、紙といった軟らかくてあたたかい材料など、その材質感が空間のイメージを決める場合が多いからです。
また様式化されたデザインを用いて、ある時代や地域が持っているインテリアの雰囲気をかもし出すこともあります。
以上のような要素によって空間全体のイメージを決めることは、インテリアのスタイルの方向を決めることでもありますが、これによって各部位の納まり、デザインモチーフ、取り合わせる補助材、カラーコーディネーションなどが決まってきます。
また、家具やウインドゥトリートメント、照明器具などのエレメントも、インテリアのスタイルを決定づける大切な要素ですから、この段階で大まかな方針を決めておくことが大切です。
なお、空間の配分で決まった大きさや位置関係を、視覚上の効果の面から、上記のイメージを付け加えて再検討してみることも忘れてはいけませんね。
(4) 平面の計画と設計
インテリアにおける平面の計画は、前述の(2)と(3)の作業でほぼできあがるとみていいでしょう。
それをより具体的な形にするために、空間の機能を明確にして、位置関係を確定し、現実にその空間が出来上がるかどうかを確かめる作業が設計です。
そのためには、室内環境にかかわる設備の条件も検討する必要があります。
また機器類をはじめとして家具などの主要なエレメントの組み込み、設置、配置などについても、容量、数量の確認を含めて検討し、確定しなくてはなりません。
以上の作業は最終的に平面図によって表されます。
(5) 空間の計画と設計
1、展開図・断面図・天井伏図
平面の計画がほぼまとまった段階で、立体的な空間としての設計作業に入ります。
通常、空間の高さ、寸法、部位、部材、寸法をチェックしながら、断面図、展開図、天井伏図などを書きます。
この際パースペクティブな表現によるスケッチは、構想をまとめるうえで有効です。さらに、模型によって立体的な効果をあげれば一層効果的になります。
2、細部の設計
インテリアの全体像がほぼ決定した段階で、細部の設計作業に進みます。
造作、造り付け家具などの詳細図、各部分の納まりを示す詳細図、設備関係の図面などが主要なものになりますが、そのほか、特別注文して製作する建具、家具、照明器具などの図面が必要なこともあります。
3、インテリアエレメントの決定
床、壁、天井の仕上げ材、建具、家具、照明器具、設備機器、カーテン、ブラインドなどさまざまなエレメントの選定を行い、それぞれを仕上げ表、家具リスト、照明器具リストなどにまとめます。
これらの表に見本や写真を取り込んで、分かり易くすると、色彩効果や形態の関連性なども確かめることができます。
(6) インテリアコーディネーション
床、壁、天井などの仕上げ材をはじめ、建具、家具、照明器具、ファブリックスなどのエレメントを1つ空間の中に配置し、有効な形にまとめあげることがインテリアコーディネーションですが、この課程では個としての各要素と全体との関わり合い方を反映して検討する必要があります。
個々のものがいかに優れていても、それらただ集めただけでは、よい全体像を形づくるとは限りません。
好ましい全体の姿を完成させるように個々の要素を選択しなくてはなりません。
1、機能面におけるインテリアコーディネーション
各々のエレメントが機能を十分に発揮するには、それと関係のある他のエレメントとの協調が必要です。
非常によく使われている机にしても、それを活用するためには正しく適合する椅子がなければなりませんし、照明器具も必要になってきますね。
このようなことは、インテリア計画・設計において、当然として考慮されなくてはなりませんが、コーディネーションという視点では、特に協調関係のきめ細かい見方と、判断が望まれます。
2、感覚面におけるコーディネーション
美しく快適な住まいの実現ということは、インテリアコーディネーションに対する最も大きな期待になるでしょう。
個々のエレメント自体、エレメント間の関わり方、さらに空間全体において、感覚的な効果を十分に発揮するためには、まず当初のイメージ設定を明確にしておく必要があります。
それは感覚上の判断のよりどころとなるものをはっきりととらえておくことです。
それによって様式、形、色、光、素材というような造形上の諸要素の操作も適切に進めることができるようになるからです。
美しい空間の成立は、その空間の目的制に沿った秩序づくりであると同時に、適度の変化や協調によって生気を与えることを基本としています。
一般に感覚面において、特に視覚効果に関心が集まりますが、聴覚、触覚、臭覚に対する効果も見逃せません。
生活の快適性は五感すべてにかかわることで、音、手触り、匂いや空気の状態などもコーディネートの重要な因子となります。
(7)予算計画
計画を進める上で、予算のコントロールは極めて重要になります。
どんな優れた計画であっても、予算にあっていなければ絵空事にすぎず、計画は徒労に終わります。予算の検討の方法には次ぎの2つのケースがあります。
1つは計画が先行するケースで、その計画を実行した場合、いったいどのくらいの費用がかかるかを考える場合です。
もう1つは、予算があらかじめ与件になっている場合で、その予算の範囲内でどこまで計画が可能かを問う場合です。
前者のケースは、依頼主の要望が明確で、その実現意思が強い場合ですね
。その要望にもとずいて計画を進め、ある程度まとまった段階で主要な部位や工事、装置、機器類などを拾い出し、概略コストを算出し、計画内容との関係を検討し、予算をまとめることになります。
後者のケースは、あらかじめ依頼主から予算が提示され、その範囲内で依頼主の要望をどんな形で、どこまで実現できるかということが問われる場合です。
このケースでは、依頼主の要望の強いものを優先させ、単位面積当たりの工事費、主要工事別工事費、装置機器類の概算などをもとに、工事内容とその範囲に対応して計画を目標に絞り込みます。
そうしてある程度計画がまとまった段階で、再度予算調整を行う方法がいいでしょう。
依頼主は、必ずしも上記の2つのケースのように、予算についてははっきりした意識をもっているとは限りません。
むしろ、おおよその予算でさえ誤魔化すケースが現場に出ればあります。それは計画内容の必然性と費用のバランス、どこに重点を置くかなどの判断は、依頼主の生活意識や、価値観に左右されるからです。
いずれにしても、計画内容と、それに対応する予算は、綿密な打ち合わせを重ねて適切なところに収れんさせていく作業をとらなくてはなりません。
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