■ インテリア計画
□ 生活空間の計画
− 1 − 生活像の把握
生活には多くの要素があって、一定のものとしてとらえることは難しいです。その上、時間とともに変化していく内容も少なくありません。
しかし、生活のあり方をできるだけ正しく把握しないと、生活空間の計画は、よい成果とはなりません。
施主の要求条件の中には、一般に共通する内容と、特定の人だけが要求する内容とがあります。
住宅でも、特定の個人が住む家と、不特定多数の人が住む集合住宅とでは、条件の押さえ方に大きな差異があります。
共通する生活像を求めようとする場合、これを1つの枠としてとらえることには無理があります。
そこで生活の考え方の中に認められる共通因子を探ることによって、グループ化してとらえることが行われます。
このような類型化した生活様式の分類を、ライフスタイルのゼクメンテーションといっています。
ライフスタイルをとらえるとき、人の生涯をいくつかの段階に分けて考えると理解し易いです。
それを周期として考えるのがライフサイクルで、年齢的な生活基盤の区分によるそれぞれの段階をライフステージといいます。
子供たちがすでに成人となっている50歳以上の人の世帯の場合と、幼児をかかえる30代の世帯では、要求条件にも異なる部分が少なくありません。
また、地域、職業、経済力などによっても大きな違いがあります。
このような分類をしたり、それぞれの特性を把握するためには、生活の実態を調査しなくてはなりません。
また人間の行動特性や心理特性などについては、調査だけでなく、実験によって基礎的な資料づくりをする必要があります。
調査や実験によって得られたデータから、結論を引き出すには、いろいろな分析の手法が使われます。
生活空間のイメージの把握は、計画をすすめる上で重要なことですが、イメージを数量的に捉えることはとても難しいです。
インテリアやその構成要素のもつイメージを調査、分析するためには、それに適した物差しを考えなければなりませんが、その1つにSD法と呼ばれるものがあります。
SD法は、いくつもの反対の意味をもつ形容詞の言葉を使って、対象となる物や空間の印象を評価させて、その結果から物の空間のイメージや、人の特性などを明らかにしようとするものです。
− 2 − 生活行為と動作行為
生活空間に必要な機能や、そのためのスペースは、そこでどのような生活行為が行われているかによって決まってきます。
ここでいう行為とは、1つの「動作」ないしは「いくつかの動作」がつながった一連の行動を指しています。
生活に必要な空間の広さは、それぞれの動作に必要な空間領域を知って、それを組み合わせることによってある程度把握することができます。
動作に必要な空間の領域を求めるとき、基本となるのは、人体と手足の動く範囲、すなわち「動作域」です。
この動作域に道具や家具の寸法を加えて、1つの動作に必要な空間領域ができますが、それを示したのが「動作空間」です。
動作空間には、歩行や挨拶の空間があります。
これらは、廊下や玄関の広さを決めるときに必要になってきます。
また、戸棚から物を出し入れするときや、机や台に向かって作業するときは家具や道具を補助として使用するための空間が必要で、家具がいかに機能的に計算されていても、使うために必要な空間が設けられて居なければ、その機能は生かされないことになります。
− 3 − 単位空間と間取り
一般に、関連するいくつかの動作空間が連続し、集合して、生活行為の場としての室内空間がつくられます。
たとえば、「衣服を着替えて整理する」「鏡台で化粧をする」などの動作空間が組み合わされて「寝室」という生活行為の場が形成されます。
ただし、そこでは行為の時間的なずれや頻度などを考慮して、動作域の重複、ゆとり空間などを含めてスペースを合理的に使用できるように考えることが必要です。
このように、関連する動作空間がいくつか集合し組み合わされた、あるまとまった生活行為の場を「単位空間」と呼びます。
単位空間は、一般的には壁、天井などで仕切られ「部屋」となる場合が多いですが、常に単位空間=部屋ではありません。
ダイニングキッチンのように「ダイニング」と「キッチン」という2つの単位空間が隣接して1つの部屋を構成することもあります。
単位空間と部屋とを区別するために、後者を「室空間」と呼ぶこともあのます。
− 4 − 空間の機能と配置
動作空間を必要なだけ寄せ集めさえすれば、満足のいく生活空間が出来上がるわけではありませんね。
動作空間相互の位置関係がうまくつながらなければ、機能的な生活空間は生まれません。
台所に例をとれば、調理台、流し台、コンロ、冷蔵庫、通路、出入り口などの位置関係がうまくつながり、動作空間がうまく配置されていなければ、使い勝手のよい空間は得られません。
関連する行為を連続してつないでいくと、当然隣接する単位空間にまで及びます。
1つずつの生活行為としてみている動作空間の間には、区切りがなく連続しているわけですから、動作空間を適切に並べることは、単位空間相互の位置関係をうまく設定することにもつながります。
使いやすく、機能的な空間を得るには、このように生活の内容を細かく検討しておくことが必要になって、こうした分析と整理の作業を「動線計画」とか「配置計画」と呼びます。
その結果が「家具や装置、機器などの配置」や「間取り」として表されることになります。
以上は、主に生活行為の連続性を基準にした動線計画ですが、空間の視覚的な快適さを得るためには、視線の計画も重要になってきます。
動線ほど重要視されていませんが、人は普通、空間を視覚的にとらえているので、快適な生活空間を計画するには、これも基本になる要素の1つと行ってもいいでしょう。
そこで、人間の行動につれて、どの方向に視線が向き、どの範囲で視線が展開するかを、配置計画の段階で検討しておく必要があります。
特に椅子の配置は、視線と視野に関係するので、検討が大切になります。
休息を目的とする場所から台所が見えてしまうとか、家事作業の場から幼児の行動が見えないといったことだとか、装飾的効果をねらった部分が視野からはずれているといった問題が、視線計画の対象となります。
− 5 − 規模の考え方
生活空間の計画は、動作くうかんをもとに空間を組み合わせていくことが基本となりますが、それだけでは好ましい生活空間ができるわけではないことは、前述した通りです。
空間の広さや施設の数を適正に設定するには、利用者の数、性別、年齢、また使用頻度、時間的変化、将来予測などの要素を十分に検討しなければなりません。
生活空間は広げればよいというものでもありませんし、限られた建築空間の中に要求される機能を計画する場合には、動作空間や単位空間の重複や総合化などの検討と同時に、必要な道具、家具、機器の種類や数を整理して、より合理的な空間をつくることが重要になります。
このように、適切な単位空間の大きさや、必要な家具、機器の数量について検討することが規模計画です。
規模計画で大切なことは、個々の生活行為にとって都合がよいということだけではありません。
空間が全体としてバランスが取れていて、物理的な広さ、大きさ、数量が適切で、感覚的にも満足できる空間とすることが望ましいです。
感覚的に空間の広さが適当かどうかを評価するには、生理的尺度、心理的尺度で測る必要があります。
たとえば、人体の部位や動作などの識別が、距離によってどのように変化するかを、実験によって調べたデータがあります。
これは、視覚と空間との関わり合いを判断する1つの尺度にもなります。
視覚もまた空間の大きさに関係があります。教室や会議場などで音声をはっきり聞き取れるかどうかは、距離や空間の大きさに関係することです。
また、エコーの有無や残響時間といった要素を含めて空間の規模を考える必要があります。
以上のことから、空間の大きさの適否は、単に行為のための広さだけではなく、視覚や聴覚といった感覚的要素も含まれ、総合的な形で感じとらえるものであり、寸法の大小だけでなく、形や表面の仕上げについても空間の感覚に大きな影響を及ぼします。
したがって、規模計画の検討にあたっては、感覚的要素についても十分検討する必要があります。
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