■ インテリア計画
□ 寸法の計画
− 1 − 生活空間の寸法
室空間の大きさを決めるには、予想される生活行為に対応する主な動作空間を求め、それらを組み合わせた単位空間を基準にして考えればいいわけです。
その場合、動作空間や単位空間は、広さとしての面積、大きさとしての容積が数値として表されます。
生活空間を具体的な形にまとめる課程は、空間を構成する数々の要素の寸法の決定と、それらの相互関係を、寸法的に調整していくということができます。
何の基準もない空間に、動作空間や単位空間を位置づけることはできません。
まず、その空間に基準となる原点を定め、2次元、あるいは3次元の空間座標を設定して、それを頼りにしてはじめて位置を決めることが可能となります。
動作空間や単位空間に寸法を与え、それを空間座標の中にはめ込んでいく作業が寸法計画です。
ここで大事なことは、動作空間や単位空間が勝手な寸法であると、それらを組み合わせた時、でこぼこになったり、隙間ができたりしてうまく空間座標の中に収まらなくなります。
これでは見栄えも悪く、無駄な空間をつくることになり、かつ手間がかかりますね。
いち1つの空間を他の空間と置き換えたり、配列を変えようとするとき、空間の間に一定の規則に従った寸法がとられていれば、空間に互換性があって便利です。
各空間の間に寸法の規則性があるということは、その空間をつくっている構成要素の間にも寸法の規則性が必要だということです。
このように寸法の規則性により空間ができていて、各構成要素間に互換性があれば、計画を進める上で自由度が大きいのみならず、空間を模様替えしたり、一部だけを取り替えたりするときにも都合がよくなります。
それはまた、部品や部材を工業生産化するという立場からみても有利なことです。
2、モデュール
空間や構成要素の寸法に、規則性をもたせたときの効用は前述の通りですが、それはまた、視覚的にも大きなメリットがあります。
日本では誰でも、何畳間と言えばある空間の大きさとプロポーションを想像することができますね。
畳の大きさは、人体寸法をもとにして生まれた1つの基準単位(モデュール)であって、これによって空間の大きさを読みとることが可能になります。
モデュールは「建築空間や構成材の寸法を決めるための便利な単位寸法、または寸法体系」と定義されています。
もともとは「比率」または「単位」を意味する言葉で、歴史的には建築各部の寸法における比例関係を導き出すために使われていました。
ギリシャ建築では柱の基部の直径を単位として、各部の寸法が決められていきます。
近代になってからは、モデュールの考え方は、人間の生活に適合した建築をつくるための基準尺度として用いられるようになりました。
フランスの建築家ル・コルビジェによるモデュロールは、人体を黄金比で分割して、その数体系を用いて均整の取れた建築デザインを得るための道具としていました。
その後、建築技術の進歩につれてモデュールは、寸法の標準化、互換性の保証という面から、建築計画の合理化のための手段や、建築の工業化のための手段として利用されるようになってきました。
今日のモデュールには、大きく2つの考え方があります。
1つはISO(国際標準化機構)規格に決められている、全ての寸法を1つの単位寸法(10センチ)の整数倍によって決めようとするものです。その単位寸法をモデュールと呼びます。
もう1つは、日常よく用いる寸法をいくつか選び、その集合体の全体をモデュールと呼ぶ考え方で、この寸法の集合体は、等差数列や等比数列で構成されています。
フィボナッチの数列は、前の2つの数を加えた数が次ぎに並ぶというもので、隣り合う2つの数の比は理想的な美しさの割合である黄金比に収束することになっています。
日本の建築モデュール(JIS A 0001)は、2倍と3倍、7倍系列の等比数列を組み合わせてできています。このようにいくつかの数列を組み合わせてつくるやり方もあります。
3、モデュラーコーディネーション
建築空間をつくることは、空間座標の決められた位置に、必要な部品や部材をはめ込むことだということについてはすでに述べました。
寸法調整では、空間の位置を決めるために設定された「線」や「面」を「組み立て基準線」と呼び、「組み立て基準面」と呼びます。
一方構成材である部品や部材には、組立基準面との整合をはかるための基準を定めておく必要があります。
すなわち構成材の大きさや位置を示す基準であり、それは「構成材基準面」と呼ばれます。
組立基準面は、空間の広さや空間相互の位置を決めるために設定されます。
一般には一定の間隔を置いて、いくつかの基準線が設定されます。
この基準線はあるモデュールに従って、空間の中につくられた碁盤目のようなもので、これを組立基準系と言います。
住宅の間取りを設計するときは、この組立基準系にもとずいて行われることが多いです。
構成材基準面には構成材の種類によって3つのタイプがあります。
空間の中に組み立て基準面がモデュールに基づいて用意されていて、構成材側の基準面もそれに合うようなモデュールに調整されていれば、構成材を組み立てて配置していくのに都合がいいですね。
先に述べた動作空間や単位空間を組み合わせる場合にも便利です。
このように、モデュールにもとづいて構成材や空間の大きさや位置を調整することを「モデュラーコーディネーション(MC)」と呼んでいます。
4、グリッドプランニング
先に述べたように、組立基準面は、碁盤目のような一定のグリッド(格子)によって表現されますが、これに基づいて設計を行うことをグリッドプランニングと言います。
つまり、単位空間や構成材の配置を、グリッドに合わせて計画するというやり方です。
この場合、それらの位置や大きさは、寸法上の制約を受けることになりますが、その反面、単位空間や構成材の間に互換性が確保されて、プランニングの多様性を増すという利点があります。
グリッドプランニングには、次ぎのようなものがあります。
(1) シングルグリッド
均一な間隔で一様に引かれた碁盤目のようなグリッドをシングルグリッドと言います。
このシングルグリッドに構成材の中心線を合わせて配置していく方法を、「シングルグリッド心押さえ」と言います。
関東間でつくられる在来木造構造(軸組構法)の住宅は、その代表的な例です。
また、シングルグリッドに構成材の1つの面を合わせて配置する方法を「シングルグリッド面押さえ」と言います。収納間仕切を配置する場合に多く用いられる方法です。
(2) ダブルグリッド
部分的、またはすべてをダブル線で引かれたグリッドをダブルグリッドと呼びます。
あらかじめ壁やパネルの厚みに相当する幅を想定してグリッドを作っておく方法です。
この方法だと、グリッド間は内法寸法として保証されるという利点があります。関西間でつくられる在来木造構造の住宅はこの方法によります。
グリッドプランニングにおいて、構成材は次のような条件が必要です。
1、構成材の間に位置の互換性があること。
2、構成材の間に寸法の互換性があること。
このような条件が満たされていれば、プランニングの自由度は高まり、効果的になりますね。
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