■ インテリア計画
□ 安全の計画
安全については、「第3章 人間工学 第6節 インテリアの安全」のところでも説明しました。
そこでは主として人間を中心にして安全の考え方を取り上げましたが、本節の中では建物を中心とした安全の考え方について述べます。
インテリアの安全性を測るには両者の立場から計画する必要があるので、あわせて読んでもらいたいですね。
− 1 − インテリアの安全性
インテリアによる事故災害は、地震、火事、台風による非常災害と、設計されたインテリアと利用者の関係で生じる日常災害に大別されます。
また、安全性の確保のためには、犯罪、病気などの要因も考慮すべきですが、インテリア計画の観点からは、事故災害が大きな比重を占めます。
インテリアにおける非常災害は、建築全体の安全性との関連が強いです。
しかし、建築計画とは直接関係がなく、インテリア計画の不備によって災害のおこる場合もあり、その特性を十分に把握して防災対策を立てる必要がありますね。
− 2 − 火災への対策
近年、建物自体の防火性は増しましたが、火災時に室内で発生した煙による人身事故が増えています。
特にプラスチックなどは、紙や木材と比べて発熱量と発煙量がとても大きく、有毒ガスを発生することもあります。
そのため、居住者の安全を確保する火災対策として、建築基準法により室内制限が規定されています。
これは、建物や部屋の用途、規模、構造などによって、室内空間の防災性能を規定したものです。内装制限を適用される内装には、防火材料を使わなくてはなりません。
インテリアで多用される壁装材料(壁紙)は、壁紙単独で判定されるのではなく、下地材との組み合わせによって性能が決められます。
また、スプリンクラー設備などを設けると、消火の成功率が高くなるので、内装制限を適用されない場合もあります。
この場合、コストはかかりますが、内装に木材を使うことも可能となります。
住宅では、他の居室に比べて出荷率の高い台所などの火気使用室が、内装制限の対象となります。
また、水平上面の燃焼に比べると垂直面や水平面の燃焼の方が著しく早いことから、壁及び天井の内装材の不燃性の程度が火災の拡大を大きく左右します。
そのため、内装制限は壁と天井について規定されています。
消防法においては、有毒ガスの発生などによる人的被害を防ぐため、高層住宅などで使用するカーテン、絨毯は、防火性能を保証した製品を用いるように規定しています。
− 3 − 地震への対策
日本の建築物の耐震対策は、非常に進歩しています。
しかし、室内の人間の安全性は、必ずしも十分に確保されていません。
建物そのものの破壊による1次災害ではなくても、室内に置かれた家具、備品類の転倒、落下、横滑りなどによる2次災害で、人間に危害が及ぶケースがあります。
タンスのように接地面積の割に高さのある家具は転倒しやすいですし、脚部にキャスターのある家具は横滑りしやすいですね。
インテリアの計画にあたっては、安定性のよい家具を選定するとともに、必要に応じて壁などに転倒防止金具で固定したり、収納物の散乱を防ぐために扉や引き出しの部分に鍵を設けることも考える必要があると思います。
転倒したり移動してきた家具などによって、ガラスが破損し、思わぬ被害を受ける場合もあります。
そのための対策としては、家具そのももや窓ガラスに割れにくく、たとえ割れても破片が飛び散らず、鋭利にならない安全なガラスを採用したり、窓の内側に家具の接触を防止する手すりや窓台などを設けることが考えられます。
− 4 − 日常災害への対策
室内においても、滑ったり、つまずいて転んだり、階段での転倒、滑落事故などがおこります。インテリアにおける日常災害とその対策の例を下記に示しておきます。
【不完全燃焼による中毒】
開放型燃焼器具の不完全燃焼により一酸化炭素中毒が発生し、中毒を起こす。
対策…密閉型燃焼器具を用いたり、開放型を使用する場合は換気扇連動とする。
【階段などからの転落】
勾配が急であったり、段板が滑りやすい材質の場合に転落が多い。下降時の方が転落しやすい。
対策…法的規制以上に路面を大きく、蹴上げを小さく、昇降しやすくなる。身体を支える手すりを接地する。段は滑りにくく、万一の転落時の衝撃を吸収する柔らかい材質とする。
【手すりなどからの転落】
手すりや窓台を越えて子供などが転落する。
対策…手すりの高さは基準法の最低高以上とする。手すりの桟などは足を掛けて登りにくいデザインとする。
【床面での転倒】
床材、ワックスなどの選択ミスや小さな段差による滑りや転倒が多い。
対策…敷居などの段差をなくす。水などで濡れても滑りにくい材質を選ぶ。小さな敷物をさけて、カーペットの端部をしっかり固定する。転倒時の衝撃を吸収する柔らかい材質とする。
【火傷】
調理中や開放型燃焼器具の使用時の火傷が多い。
対策…直火を使用せずに済む電磁調理器具や密閉型燃焼器具を使用する。特に高齢者の場合は注意する。
【溺水】
浴槽などで溺れる事故が多い。
対策…浴槽や洗濯機に水をためておかない。浴槽入り口に鍵を設置する。
【衝突】
ドアや突起物に歩行者が衝突する。
対策…移動のための動線と、ドアなどの移動軌跡を重ねない。壁面の突起物は利用者が接触しない位置とする。
【その他】
ドアへの挟まれ、鋭利な部分での切り傷。棚上の物の落下。爆発事故。感電事故など。
|
|
|
|