■ インテリア計画
□ 色彩の計画
インテリアの計画の中で、色彩が果たす役割は大きいです。
色彩の決定は、計画、設計の最終段階において行われるケースが少なくありませんが、できるだけ早い時点で、色彩イメージを明確にしておく方が良いですね。
色彩計画(カラースキーム)は、空間の使用目的や条件にそって、どのように色彩配分するかを考え、決定に導く課程を意味しますが、具体的な作業としての立場から、色彩計画という言い方もあります。
色彩調節(カラーコンディショニング)は、色彩のもつ心理的、生理的、物理的な性質の応用を主眼としますので、生活環境を快適で能率的にするための配色計画のことを言い、空気調節、音響調節などとともに、インテリアの環境調節の1つの手段とされます。
色彩調節は一般に、感情が安定する、目が疲れない、作業能率が向上する、事故を防ぎ安全が保たれるというようなことへの効果が重視され、主に病院、工場、オフィス、学校などにおいて採用されてきました。
カラーコンディショニングに対して、カラーコーディネーションというのは、モノや空間を構成する諸要素の色彩を調整することを意味しています。
インテリアの場合、各部分の色の選定と、組み合わせの効果を狙いとしていて、インテリアコーディネーションの大事な分野です。
− 1 − 色彩計画の手順
住宅の場合、各室の色彩計画に際しても、まず住宅全体の色調について方向付けを明らかにしておくことです。
一般にインテリアの色彩計画の進め方は、次ぎの手順によることが多い。
(1) イメージの設定
空間の正確に応じた色彩イメージをまず想定することです。
居室では「明るい」「落ち着いた」「暖かみのある」「柔らかみりある」などが、しばしばイメージの設定にあらほれてくる形容詞ですね。
(2) 構成要素のチェック
床、壁、天井をはじめ、家具その他、インテリアを構成するエレメントの色彩に関わる条件を調べます。
製品によっては色彩がほとんど限定されてしまうものがあります。また材質、形態、寸法などの把握、採光・照明の確認も必要である。
(3) 基調色を決める
設定されたイメージをもとに、さまざまな条件を考え会わせながら基調となる色を想定します。
基調色(ベースカラーあるいはベーシックカラー)は、床、壁、天井などの面積の大きな部分が主体となり、背景色としての役割があります。
一般に住空間の壁、天井を高明度・低彩度とすることが多いですね。
最も多く使われている基調色は、マンセルの表色法の5〜10YRの範囲の色相の高明度・低彩度の色です。
(4) 配合色と強調色
基調色に対してその特性を高めたり、変化を付けるために組み合わせる色が配合色(アソートカラー)です。
さらに基調色を主体とする全体の秩序に対して、特に目立つ変化を加える役割を持つ色を強調色(アクセントカラー)といつています。
インテリアにおいて色の統一感は重要ですが、程良い変化を付けることによって、単調さを防ぎ、生気を与えることにも、色彩効果の上で大切な手段です。
一般には長い期間を変えることのない天井、壁、床などの大きな面積の部分を基調色、カーテンなどの取り替えのできる中面積の部分を配合色、ルームアクセサリーなどの替えやすい小さな部分を強調色として扱うことが多いですね。
− 2 − 色彩と材料との関係
材質によって色彩効果が影響されることは少なくありません。
近距離ならば凸凹がはっきりして材質がよくわかるものでも、遠くから見るとその特徴が見えにくくなり、材質感よりも色彩として捉える傾向が強まります。
インテリアの場合は近距離で見る対象が多いので、材質との関係は特に重要になります。
着色を加えない木や意思のような素材そのものの場合は、色彩としてより材質の特徴の方が優位に感じられますが、材料特有の色を把握しておくことも大切でしょう。
木材は樹種によってさまざまですが、一般には無塗装の場合2.5〜10YRの色相で、明度は高いが彩度は低いです。また打ちっ放しのコンクリートはおおよそ5Y6/1程度の色とみなすことができます。
一方下地となる材質を隠す塗装を施す場合には、塗膜のみが質感の対象になるだけなので、色彩全体の見え方になります。
また塗装面などにおける光沢の度合いによる見え方の違いも無視できません。
光沢のあるものほど正反射率が高く、反射の方向との関係で見る位置によっては色が見えにくくなりますが、光沢の少ないものは拡散反射が多いので、どの方向からも色をよく見分けることができます。
さらに表面の粗いものは、陰影が出きるので、明度、彩度が幾分低くなります。光沢のある平滑な面より、細やかな凸凹のある粗面の方が暖かく、柔らかく、落ち着いて感じられます。したがってインテリアにおける大きな面積の部分は、一般に光沢の少ない粗面にするほうがなじみやすいものです。
− 3 − 色彩と採光・照明との関係
色の見え方は、光の明るさや色によっても変化します。
昼間の太陽光による採光の場合と、夜間の照明による色の見え方の差をできるだけ小さくするには、昼間の採光条件に近い色温度の光源による照明として、明るさの違いも極力小さくする必要があります。
一般に住宅では、昼の光と夜の光の違いを、当然のこととして享受する場合が多いですが、夜間での見え方を重視する寝室などでの色彩の選択には、特に照明との関係が重要になってきます。
明るい照明の下では、色刺激の強い高彩度の色でも、明るさを落とせば刺激は弱まります。
したがってインテリアにおける色の配分と、照明の位置や明るさとの関係は重要です。
また鏡を使うところでは、肌の色が自然に見えるような照明を心がけるなど、演色性に対する配慮も必要となってきます。
− 4 − 褪色と汚れ
着色のために用いられる顔料や染料の中には耐光堅牢度の高いものと低いものがあって、直射日光の当たるようなところでは、比較的短期間にいろが褪せることがあります。
ピンクや藤色のように淡い色の褪色が概として目立ちます。
木材や畳のような植物系の材料では、日光によって色やけといっている変化が生じてはきます。
このような褪色や変化は、インテリアの色彩計画において、あらかじめ考慮しておくことが望ましいですね。
また住宅内部で汚れやすいところには、汚れが目立たない色を使いますが、汚れの落としやすい材質も使います。
埃の質によっても異なりますが、砂や土の成分が多い埃については、それに近い色の仕上がり面は目立ち難いものです。
黒や低明度の色の平滑な面は特に埃が目だってしまいます。
浴槽や洗面器、便器などもこの種の色のものは汚れが気になるので、住宅では避けた方が無難でしょう。
− 5 − 住宅各室の色彩計画
時には来客も含めて家族全員が共同で使い、いろいろな用途にも応じなければならないリビングルームなどの空間では、一般に白や明るいベージュというような中立的な色を基調とする方法の方が適応の幅が広く適しているようです。
玄関、廊下、階段室などは、歩行などの動きを助ける明るさが求められますが、長時間使用する居室とは違い、彩度を高めて活動的な雰囲気を強調することも考えられます。
台所、浴室、便所などの水回りは、使用目的もはっきりしていて、その機能性と結びつく色の選びが基本となります。
このような一般的な考え方にこだわらず、より自由に色彩を駆使することが歓迎される場合もありますが、そこに住む人の同意を得ることが何よりも大前提となることは言うまでもありませんね。
各室ごとに、その目的に合わせた色を選ぶことが大切になりますが、その一方で、住宅全体のまとまりを損なわないような色彩計画が望まれます。
そのためには、各室にわたって、あるいは隣接する室において、いずれかの部分に共通する色を使うと良いでしょう。
また、北側の部屋では、暖色系を基調色とするというような、色彩計画上のゾーニングについても考慮したいものです。
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